特定医療法人 新生病院 〒381-0295 長野県上高井郡小布施町大字小布施851 TEL:026-247-2033

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第53回新生国際医療協力・バングラデシュ医療援助のレポート 

寺島左和子(医師・形成外科)


当院では宮崎亮医師(泌尿器科)、宮崎安子医師(小児科)夫妻が中心となって運営されている「新生国際医療協力基金」の活動の一環として、年に3~4回バングラデシュへ医師や医療スタッフを派遣しています。2009年2月の派遣で53回目となりました。

2009年2月14日に日本を出発し、タイ・バンコクで1泊、翌15日の朝の飛行機で昼過ぎにダッカに着きました。コーディネーターの宮崎医師ご夫妻、東京からは東京女子医大グループの医師3人、京大からは野瀬先生、そして私の7人です。ダッカで2つの車に別れ現地に向かいました。宮崎亮先生と東京女子医大グループの4人はボグラの病院へ。宮崎安子先生、野瀬先生と私は北の国境近くの村・ジョイラムクラへ出発です。

寺島左和子医師

寺島左和子医師



気が付くと車の後ろにバングラデシュ人が2人乗っていました。一人は病院の職員、もう一人はチッタゴン(バングラデシュの東端)から来たドクター・ヒラリーでした。彼は形成外科の勉強がしたいと遠くからの参加です。
いざ病院へ出発。 いざ病院へ出発。
左 唇裂術前(2008年) 右 術後(2009年)


4回目ともなると見覚えのある懐かしい景色が多くなっています。昨年に比べて川の水の量が少ないようで、道はとても埃っぽいでが、気温は20度前後と快適です。ジョイラムクラ病院には夕方6時前に到着しました。院長のドクター・レマと奥様のドクター・ルーシーに迎えられ、ゲストハウスでしばし休憩です。それからすでに入院して待っている患者さんと外来患者さんの診察をして、手術予定を立てます。診察が終わったのは9時。それから例によってカレーの晩御飯をいただいた後、しばらくスケジュールや手術法について相談し、バングラデシュの1日目は終わりました。

今回ジョイラムクラで診察した患者さんは、全部で94人でした。海外医療援助では術後の結果を見ることがなかなか出来ませんが、今回は来院した患者さんの中に、昨年手術した患者さんが2人いました。1人は唇裂の男の子で、口蓋裂の手術のために来ていました。唇裂の手術結果はとてもきれいです。


左 術前(2008年)  右 (術後2009年)


また顔面の腫瘍(レクリングハウゼン氏病、右頬から耳の下にかけて腫瘍がある)の16歳の女の子も来ました。手術跡もほとんど目立たず、きれいです。目が合うと、にこっと笑ってくれました。


今回ジョイラムクラで手術をしたのは34人です。そのうち唇裂は12人、口蓋裂は3人でした。唇裂・口蓋裂が専門の野瀬先生が見事な手術をしてくださいました。手術を受けた子供たちの人生が、これで良い方向に変わりますね。また、勉強に来たバングラデシュ人のドクターが唇裂の手術のトレーニングをうけました。

唇裂に関しては患者さんが少し減ったようです。これは新生病院からだけでなく、アメリカやドイツからもボランティアチームが来て、近くのマイメイシンという町で唇裂の手術をしたため、ということです。患者さんが減るのは喜ばしいことです。 あとは熱傷瘢痕拘縮(やけどの傷跡が引きつっている)の手術が12人、その他の手術が7人でした。今回は首の熱傷瘢痕拘縮の手術が多かったのが特徴でした。


野瀬先生の指導を受けながら、初めて唇裂の手術をするDr.ヒラリー


そのうちの1人の患者さんを紹介しましょう。
ミストちゃんは12歳の女の子です。4年前に服にかまどの火が燃え移って顔から首、左胸にかけて大火傷をしました。バングラデシュはまだ一般にかまどで煮炊きするので、服に引火してやけどすることが多いのです。ミストちゃんはお母さんと2人暮らしで、働き手のお父さんがいないので、とても貧しいのです。やけどは治りましたが、ひどい引きつれが残りました。左の顔が胸の方にくっついて引っ張られています。下唇もひっぱられて閉じることができません。恥ずかしいのでサリーで左の顔を隠していますが、それでもこちらが微笑みかけると、にっこり笑い返してくれる可愛い女の子です。

手術は首の引きつれ部を切開し、顔をできるだけもとの位置にもどして、太ももの付け根から取ってきた皮膚を移植しました。骨の発育も悪くなっているので1回では完全に良くはなりませんでしたが、あと1~2回手術をすればとても良くなると思われます。移植した皮膚が生着するまでに1週間かかります。それまでにずれたり、移植皮膚の下に血液が溜まったり、感染をおこしたりすると皮膚は着きません。
「どうぞ移植した皮膚がよく生着してくれますように!」
 
今回はこのような首の瘢痕拘縮の手術を4人しました。植皮術は手術の結果がすぐにはわからないので、全てうまくいっていますようにと祈りつつ帰国しました。


術前の様子。
熱傷後の瘢痕拘縮のため左顔面が胸に引っ張られている。 引きつれのため下唇を閉じることができません。

術後3日目の様子。
あごから首にかけて皮膚移植し、なんとか下唇が閉じられるようになりました。 あと1~2回手術をすると、とても良くなるでしょう。 また来年も手術を受けに来てくれるといいのですが・・・。 遠くから来る貧しい人たちはバス代もままならないので1度しか来られないことも多いのです。


ボランティアで参加した形成外科医たち、(空港にて)
左より 野瀬先生、田辺先生、寺島、 中島先生、猪原先生

バングラデシュの北の国境近くの村・ジョイラムクラで。
病院のゲストハウスに泊まります。食事は朝昼晩カレーです。 左より Dr.ヒラリー(手術の勉強に来たバングラデシュ人医師)、 宮崎亮先生、宮崎安子先生、野瀬先生

病棟回診と病室の様子。
ベッドが足りなくて、床にも入院しています。 家族が付き添うので人口密度がとても高い!

床に入院して手術を待つ唇裂の女の子と家族


最後の2日間はダッカ山形友好病院で手術しました。右後ろで覗き込んでいるのは、視察に来られたバングラデシュ日本大使夫人です。

 

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